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ワルナスビの命名由来 [野草]

    ワルナスビ 悪茄子  ナス科  ナス属 

  ワルナスビとは「悪る茄子」の意である。  牧野富太郎 「植物一日一題」より

ワルナスビとは、何とも気の毒な名前を付けられたものだと思います。
植物の名の由来というものには、聞いても納得の行かないものもあり、また同じ名前に複数の由来話があったりして、なかなか本当のことが分らないことも多いものです。
しかし、このワルナスビの場合は、はっきりしています。
何しろ、名付けた当人の牧野富太郎博士が、自慢げにこんな随筆を書き残しているのですから…。

以下、すこし長文になりますが、写真を挟みながら、命名者である牧野富太郎博士の随筆「植物一日一題」より引用します。
(青字が引用部分です)

 下総の印旛郡に三里塚というところがある。私は今からおよそ十数年ほど前に植物採集のために、知人達と一緒にそこへ行ったことがある。ここは広い牧場で外国から来たいろいろの草が生えていた。そのとき同地の畑や荒れ地にこのワルナスビが繁殖していた。

 

 私は見逃さずこの草を珍しいと思って、その生根を採って来て、現住所東京豊島郡大泉村(今は東京都板橋区東大泉町となっている)の我が圃中に植えた。さあ事だ。それは見かけによらず悪草で、それからというものは、年を逐うてその強力な地下茎が土中深く四方に蔓こり始末におえないので、その後はこの草に愛想を尽かして根絶させようとしてこの地下茎を引き除いても引き除いても切れて残り、それからまた盛んに芽出って来て今日でもまだ取り切れなく、隣の農家の畑へも侵入するという有様。イヤハヤ困ったものである。それでも、奇麗な花が咲くとか見事な実がなるとかすればともかくだが、花も実もなんら観るに足らないヤクザものだから仕方ない、こんな草を負い込んだら災難だ。

 この始末の悪い草、何にも利用のない害草に悪るナスビとは打ってつけた佳名であると思っている。そしてその名がすこぶる奇抜だから一度聞いたら忘れっこがない。

                                               牧野富太郎 植物一日一題  ワルナスビ  より引用

  因みに、この本は昭和28年に刊行されたようですから、牧野博士がワルナスビを見出したのは、おそらく昭和十年代のことと推測されます。

  また、僕の手元にある本は、1998年に博品社という出版社から刊行されたものですが、残念なことにこの出版社が解散してしまったようで、現在は絶版となっています。

ワルナスビにには、茎にも葉にも、かなり鋭い刺があります。

花は、白色のものから薄紫のものまで、かなりのバリエーションがあるようです。

また、花びらのしわも、あるものとないものがあります。

ワルナスビは、外来植物の図鑑などにも、農園にとっては始末に負えない植物として、その駆除方法なども書かれているほど、農家にとっての甚だしい害草です。
しかし、その生命力の強さには驚嘆するものがあります。

 

実を言うと、昨年の夏と今年の夏に、この花の事をブログに載せようと思ったことが、何度もありました。
しかし、時間がないまま見送っている内に、花の季節が過ぎてしまいました。

ところが、家からさほど遠くない場所にある駐車場に、ワルナスビが今現在も咲いているのを見て、改めて載せることにしました。
ですから、一枚目の写真以外はこの夏と昨年の夏に撮ったものです。

   オオニジユウヤホシテントウ  大二十八星天道  甲虫目 テントウムシ科

ワルナスビの葉には、時に虫食いが目立ちます。
恐らくは、上の写真のような草食のテントウムシなどが、葉や花を食べているのだと思います。
一度、ニジュウヤホシテントウが葉を食べているのを見掛けたことがありますが、写真は撮れませんでした。
ニジュウヤホシテントウは、ナスやジャガイモ、トマトなど、ナス科の植物を食い荒らす、農家にとっての大敵です。
それが、同じ農家の大敵である、ワルナスビを食い荒らす様子に、自然と言うものの不可解な面白さを感じてしまいます。

上の写真は、別のナス科の外来植物の葉を食べているところです。
最初、ニジュウヤホシテントウかと思ったのですが、斑紋の大きさなどから見て、近縁種のオオニジュウヤホシテントウであろうと思われます。

    ハキダメギク 掃溜菊   キク科  コゴメギク属

この花も、何とも気の毒な名前ですが、これもまた牧野博士の命名によるものと伝えられているようです。
しかし、先ほど紹介した随筆集「植物一日一題」には、この植物のことは載っておらず、その真偽のほどはまだ未確認です。

ワルナスビの写真のいくつかと、ハキダメギクの写真は、七月の終わりに、千葉公園で撮ったものです。
八月末ごろに行った時には、これらの「雑草」は、既に刈り取られていました。
公共の公園ですから、仕方のないことですが・・・。

 

参考図書

日本帰化植物写真図鑑―Plant invader600種

日本帰化植物写真図鑑―Plant invader600種

  • 作者: 清水 矩宏, 広田 伸七, 森田 弘彦
  • 出版社/メーカー: 全国農村教育協会
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本

野の花 (ヤマケイポケットガイド)

野の花 (ヤマケイポケットガイド)

  • 作者: 木原 浩
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

野山の昆虫 (ヤマケイポケットガイド)

野山の昆虫 (ヤマケイポケットガイド)

  • 作者: 今森 光彦
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫

植物一日一題

植物一日一題

  • 作者: 牧野 富太郎
  • 出版社/メーカー: 博品社
  • 発売日: 1998/04
  • メディア: 単行本

「植物一日一題」は、Amazonで検索すると、
一応出てはきますが、品切れ中となっています。
理由は、本文中で触れた通りである為、再販の
予定は立っていないと思われます。
参考のために、リンクを張っておきました。

 

 


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コメント 14

ついうっかり触るといたずらされますからね。痛いですよね。
by (2007-09-08 15:39) 

春分

そんなに悪いやつでしたか。そしてこんなに青い花もありますか。
ハキダメギクの命名は牧野博士と思ってましたが、これもあやしいのですか。
まだまだ知らないことだらけです。だから面白いのでしょうけれど。
by 春分 (2007-09-08 17:33) 

ホントだ、棘がありますね。^^
by (2007-09-08 17:59) 

mimimomo

こんばんは^^
そんな悪いやつ、一度会ってみたい・・・懲らしめねば~(@@)^^
by mimimomo (2007-09-08 18:23) 

さねさし

近くにいっぱい咲いております きれいだと思って撮っていたのですが そんなに悪いんですか 気をつけなくては
by さねさし (2007-09-08 22:18) 

Silvermac

牧野富太郎博士の命名ですか。
by Silvermac (2007-09-08 23:17) 

ユイリ

ご無沙汰しています。
いつみてもきれいな写真ですね♪
悪いやつでもきれいに撮れるもんですね☆
by ユイリ (2007-09-08 23:47) 

はてみ

写真を見ると、つぼみの姿なんか可憐に思えます。
ワルナスビの命名は、植物にとってはなんとなく気の毒ですが、
牧野博士もこれだけつきあったのなら、実感からということで、納得できなくもないです。
by はてみ (2007-09-08 23:57) 

sakamono

「悪る茄子」の意である、と言い切っているところが、なんだか可笑しいです^^。本人、そのつもりはないんでしょうけど(当然ですね)。この花はたしかに、よく見かけます。そんなに繁殖力の強い植物だったとは。
by sakamono (2007-09-09 11:02) 

konkon

私はこのワルナスビの花、結構可愛いと気に入ってます。
牧野博士の随筆に、こんな名前の由来が出てるんですか~
面白いお話。
by konkon (2007-09-09 12:52) 

あやこ

ワルナスビ。。 茄子とお花が似ていたので食べれる実がなるのかとおもいました・・・
ハキダメギク とてもかわいいお花ですね^^ かわいそうな名前ですよね(^^;
by あやこ (2007-09-09 16:51) 

ワルナスビって漢字で書くと、悪役の名前みたいでちょっと可笑しい。。。!!
by (2007-09-10 03:35) 

penpen

ワルナスビはよく見かけます。そんなに大変なのですか。気の毒に。ハキダメギクもとってもかわいいのに。名前で損をしているような。
by penpen (2007-09-11 20:57) 

barbie

雑草として刈りとたれたとは気の毒な気もしますが。
私も花がナスっぽいのでナスかなって思ってました。
by barbie (2007-09-13 08:27) 

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